この記事では、私の経験を元に、新人看護師が辞めたいと感じる時期や退職理由の伝え方を解説します。
仕事が辛くて悩んでいる看護師は是非参考にしてください。
新人看護師が辞めたい時期
新人看護師が辞めたいと感じやすいのは以下のような時期と考えられます。
新人看護師が辞めたいと感じやすい時期
①病棟勤務が始まる5〜6月頃
②夜勤が始まる8〜10月頃
③大型連休がある年末年始
1.病棟勤務が始まる5月〜6月頃
研修が終わり、病棟勤務が始まると辞めたいと感じる新人看護師が増えるようです。
研修とは打って変わり、忙しい毎日の業務や覚えることの多さなどで参ってしまうこともありますよね。
私は病棟勤務が始まって1ヶ月ほど経った頃に辞めたいと感じるようになりましたが、同期ではその頃既に退職した人もいましたよ。
2.夜勤が始まる8月〜10月頃
夜勤が始まる頃に辞めたいと感じる新人看護師もいます。
夜勤は日勤と異なり、人手が少なくやることも多い上、寝不足で心身ともに辛いですよね。
特に一緒に夜勤に入る先輩によってその日の大変さが変わるような場合には、夜勤が億劫になってしまうこともあるでしょう。
3.大型連休がある年末〜年始
年末年始あたりにも辞めたいと感じる新人看護師が増えてくるようです。
年末年始はクリスマスや大晦日、お正月と、楽しいイベントが重なりますよね。
一般職の人は年末年始に大型連休で楽しんでいる中、看護師はシフト勤務で休めず、他の人が羨ましくなってしまうこともあるでしょう。
特に家族や恋人、仲の良い友人と休みが合わないという場合には、辞めたい気持ちが強くなってしまいそうですね。
新人看護師の離職率
新人看護師の離職率についても紹介しましょう。
2022年度に日本看護協会が行った調査によれば、新人看護師の離職率は10.2%という結果でした。
すなわち、新人看護師の10人に1人が退職しているということですね。
1年度で80〜100名程の新人看護師が就職する大病院の場合には、初年度で8〜10人の人が辞めているということになります。
しかし、私が新人看護師で辞めた時は、退職者名簿にはもっと多い人数の名前が記載されていました。
退職する新人看護師の割合は、その病院の職場環境や働き方によっても異なるのかもしれませんね。
新人看護師が早期離職する理由
新人看護師が早期離職する理由についても気になるところですよね。
ここでは新人看護師が早期離職する理由を紹介します。
新人看護師が早期離職する理由
①思っていたイメージと違った
②知識や技術が一度で覚えられない
③患者さんの前で怒られたりいじめられたりする
1.思っていたイメージと違った
新人看護師が早期離職する理由は、実際に働いてみて「思っていたイメージと違った」と感じたことが挙げられます。
実習で実際に患者さんを受け持ったことがあるものの、働いてみると実習とは異なりやることの多さや多忙な毎日に圧倒されてしまうこともあるかもしれません。
2.知識や技術が一度で覚えられない
知識や技術を一度で覚えられないことも新人看護師の早期離職理由になるケースがあります。
先輩に教わった業務内容を一度で覚えられず怒られたり、すぐに習得できない自分を「私はダメなんだ」と感じてしまったりすることが影響しているのかもしれませんね。
3.患者さんの前で怒られたりいじめにあったりする
患者さんの前で怒られたり、いじめにあったりすることでも新人看護師が早期離職するケースがあります。
新人看護師でも、患者さんの前で怒られたら恥ずかしいですし、情けなくなってしまいますよね。
また、指導ではなく、明らかにいじめにあっている場合にも、辞めたくなってしまうことはあるでしょう。
4.肉体的に辛い
肉体的に辛いと感じている場合にも、新人看護師が早期離職することがあります。
特に病棟勤務が始まったばかりの時期や夜勤が始まる時期はどっと疲れが出てしんどくなってくる人も多いでしょう。
新人看護師の退職事例【私の体験談】
他の新人看護師がどんな状況で退職するのか気になっている人もいるかと思います。
そこで、ここでは私が新人看護師時代に退職した体験談を紹介しましょう。
私は社会人から看護師になり、新卒で地元の急性期病院に就職しました。
かねてから働きたかった病院だったものの、あまりに忙しく、毎日情報収集のために7時にはナースステーションに入り、3時間ほどの残業をして残業代は無し、という働き方に嫌気がさすようになりました。
また、仕事を教えてくれない先輩と仕事をしなければならなかったり、理不尽なことで怒られることもあり、肉体的にも精神的にも参ってしまいました。
ある日、精神的にもう病棟には行けなくなってしまい、病棟師長に電話で退職の旨を伝えました。
もちろん強く引き止められ、「明日にでも病棟に来なさい」と言われ、主任、師長、看護部長と3段階で面談を受けました。
なかなか辞めさせてもらえず大変でしたが、心身ともに働ける状況ではなかったため、なんとか退職させてもらいました。
他に1年目で退職した同期の話を聞いても、新人看護師は病院の方針や病棟の成績なども絡みなかなか辞めさせてもらえないケースもあるようです。
私のようなケースを避けるためにも、これから新人看護師で退職される方は、退職理由の伝え方や辞めるタイミングについてもよく考えて行動してくださいね。
関連
看護師一年目で退職するとどうなるかはこちらの記事で私の体験談を元に紹介しています。
新人看護師でも退職して良いケース
というのも気になる所ですよね。
ここでは、新人看護師でも退職して良いと考えられるケースを紹介します。
新人看護師でも退職して良いケース
①いじめに遭っている場合
②不当な残業が多い場合
③仕事が原因で心身に不調がある場合
1.いじめに遭っている場合
指導ではなく、明らかないじめに遭っている場合には、新人看護師でも退職して良いでしょう。
しかし、すぐに退職するのではなく、まずは信頼できる上司に相談することをおすすめします。
相談したことで正当な問題だと受け入れられた場合には、人員の異動やいじめを行うスタッフの指導が行われる可能性があります。
それによって働きやすくなり、悩みが解決する場合もあるため、まずは誰かに相談してみるようにしましょう。
2.不当な残業が多い場合
不当な残業が多い場合にも、新人でも退職した方が良いかもしれません。
本来、残業時間の上限は月45時間、年間360時間までと定められており、いくら業務が忙しいからといってもこれ以上の時間残業させることは禁じられています。
そのため、月45時間以上もの残業をしているという場合には、法律違反ということになります。
また、残業代をもらえていないという場合にも、「労働基準法違反」にあたります。
残業があまりに多い場合や残業代がもらえない場合には、労働基準局に相談してみるのも一つの方法です。
3.仕事が原因で心身に不調がある場合
仕事のさまざまな要因によって心身に不調がある場合にも、新人看護師でも退職を検討した方が良いかもしれません。
看護師の仕事は健康でなければ続けることはできません。
体調や精神面に不調を抱えたまま業務にあたり、万が一患者さんに被害を与えてしまうようなことがあっては困りますよね。
また、不調を抱えたまま仕事を続けたことでうつ病を発症したり、自律神経失調症など長引く疾患を発症したりしてはその後の人生にも大きな影響が及びます。
色々と対策をしてみてもどうしても職場が合わず、心身も不調という場合には、退職するか考えてみても良いかもしれません。
新人看護師が退職するデメリット
新人看護師で仕事を辞めると、いくつかデメリットもあります。
ここでは、私が新人看護師で辞めた時に感じたデメリットを紹介します。
新人看護師が辞めるデメリット
①転職しにくくなる
②同期と比較してスキルや知識が劣る可能性がある
③退職時に揉める可能性がある
1.転職しにくくなる
新人看護師が退職すると、転職しにくくなることが大きなデメリットといえます。
新人看護師は基礎を身につける段階であるため、その途中で退職するとなると、受け入れ先の病院でも調整が必要になったり教育する余裕がなかったりということが想定されます。
そのため、新人でハローワークに行って転職先を紹介してもらっても、希望の病院を紹介してもらえなかったり、そもそも紹介してもらえる病院自体が少なかったりします。
そのため、新人看護師で退職するには、よく考えて行動することが重要といえます。
関連
看護師一年目で転職を成功させるためのポイントはこちらの記事で解説しているので、是非参考にしてください。
2.同期と比較してスキルや知識が劣る可能性がある
新人看護師が退職すると、同期と比較してスキルや技術が劣る可能性もあります。
基礎教育中に退職し、少し働かずに休んだり、転職して1から教育を受けたりすると、その分同期から遅れを取ってしまうこともあるでしょう。
しかし、転職して時間が経過すればいずれスキルや技術は身についていきます。
新人看護師で退職を決意したなら「今はしょうがない時期」と割り切って勉強し直せば問題ないでしょう。
3.退職時に揉める可能性がある
新人看護師が退職する際は、退職時に揉める可能性があることも大きなデメリットといえます。
新人看護師が退職するとなると、勤務先では人員の確保が必要になったり、これまで指導したことが無駄になってしまったりと、さまざまな影響が生じることが考えられます。
また、良心的な職場の場合、退職する看護師のその後を心配して引き止めてくれることもあるかもしれません。
いずれにしても、円満退職とはならないケースが多く見込まれることは承知しておいた方が良いでしょう。
関連
看護師が使える退職代行についてはこちらの記事で紹介しています。
新人看護師が退職する時のポイント
新人看護師は退職するときに色んなデメリットが生じるため、退職するときは以下のポイントを押さえて行動することをおすすめします。
ポイント
①強い意志で退職することを伝える
②難航しそうな場合には退職代行を検討する
③なるべく転職先を決めてから退職する
1.強い意志で退職することを伝える
新人看護師が退職する際は、強い意志で退職する旨を伝えることがポイントです。
新人看護師が辞める際は、多くの場合強く引き止められたりなかなか辞めさせてもらえなかったりします。
そのため、退職したいと伝えたのに引き止められ、辞めずに勤務を続けることでかえって気まずくなり、働きにくくなってしまったということも想定されます。
トラブルを避けるためにも、退職を決意したなら、強い意志で退職することを伝えましょう。
例えば、
「ここでの働き方を通して、私には急性期病院での働き方が合わないと学びました。短い期間でご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ないのですが、退職させてください。」
「残業が多く、日常生活や体調に支障が出ているため、今後も看護師の仕事を続けるために退職してしばらく休養を取りたいと思います。」
など、はっきりと言い切るようにしましょう。
関連
退職理由の伝え方や事例別の退職理由例文はこちらの記事で紹介しています。
2.難航しそうな場合には退職代行を検討する
退職が難航しそうな場合には、退職代行を使うことを検討しても良いでしょう。
既に退職することを決めているのになかなか辞めさせてもらえなかったり、残業代や残りの有給を請求できなかったりする場合には、プロの力を借りた方が良いケースもあります。
メモ
退職代行は、法律に基づき退職の申告から手続きまでを代わりに行なってくれるサービスです。
本人に代わって職場に退職の申請をするところから、書類のやり取り、未払いの残業代や有給の請求までしてくれます。
本来であれば自分で退職の申告や手続きをすることが人道的であるため、強くおすすめはしません。
しかし、新人看護師に限らず、退職や転職は個人の自由であるため、なかなか辞めさせてくれないなど理不尽なケースは退職代行を使っても良いと考えています。
また、私は自分が実際に新人看護師で退職してかなり苦労をしたため、退職した後は「退職代行を使えば良かった」と感じています。
そのため、退職が難航しそうな場合には、退職代行という手段があるということを知っているだけでも救いになるのではないかと思います。
退職するのが大変そうな場合には、退職代行について心の片隅に置いておいてくださいね。
3.なるべく転職先を決めてから退職する
新人看護師が退職する際は、なるべく転職先を決めておくことをおすすめします。
新人看護師の転職は難しいケースが多く、なかなか転職先が決まらないことも想定されます。
そのため、もう辞めると決めているなら早めに転職活動をおこなうことが重要です。
下に私がおすすめする転職サイトのリンクを貼っておくので、転職先を早く見つけたいという人はチェックしてみてください。
おすすめの転職サイト
新人看護師が辞めたい時期は事前に準備を行うことが重要【まとめ】
新人看護師が辞めたいと感じる時期は、病棟勤務が始まる5〜6月頃や、夜勤が始まる8〜10月頃、大型連休がある年末年始などが考えられます。
新人看護師が辞めたいと言うと、多くの場合強く引き止められたりなかなか退職できなかったりすることもあります。
そのため、退職を決意したなら事前にしっかりと準備を行うことが重要です。
退職することを強い意志で伝えたり、退職後に困らないようあらかじめ転職先を決めたりするようにしましょう。
関連
新人看護師が辞めたら幸せになれるかはこちらの記事で解説しているので、是非チェックしてください。
- 公益社団法人日本看護協会「2023年病院看護実態調査結果」 ↩︎
- 日本国際情報学会誌『国際情報研究』15巻 1 号【研究論文】「新人看護職員の早期離職理由-心理的プロセスの検討-」 ↩︎
- e-GOV法令検索「労働基準法」 ↩︎
- e-GOV法令検索「労働基準法」 ↩︎