このように疑問に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
一般的に、新卒の看護師は
“まずは急性期に3年は勤める"
という風潮があるため、急性期から慢性期に転職するのはスキルやキャリアが心配、という方もいらっしゃるでしょう。
そこで、この記事では、
看護師一年目で急性期から慢性期に転職した私が、
・慢性期病院の特徴
・慢性期病院のメリット、デメリット
・転職してみた感想
を解説します。
看護師一年目で急性期から慢性期への転職をお考えの方は、是非参考にしてください。
慢性期病院とは
そもそも慢性期病院とはどんな所なのか疑問に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは慢性期病院の特徴や入院する患者さんの主な疾患などを紹介します。
慢性期病院の特徴
慢性期病院とは、主に急性期を脱した患者さんや長期的に医療介助が必要な患者さんが入院する病院です。1
医師や看護師は、長期に渡って入院される患者さんに対し、慢性疾患のコントロールや体力の維持などを目的にケアを行います。
病状は安定しているものの、継続的な治療を要する患者さんが多い傾向にあります。
慢性期病院で携わる疾患
慢性期病院で携わる疾患には、以下のものが挙げられます。
- 糖尿病(合併症)
- 末期がん
- 慢性腎臓病
- ALS
- 脊髄損傷
- 高次脳機能障害
- 低酸素脳症
- 認知症
- 閉塞性動脈硬化症
など
急性期病院と比較し、進行が緩やかで長期的な治療を必要とする疾患が多いですね。
慢性期病院での看護師の仕事
慢性期病院ではどんな仕事をするのかも気になるところですよね。
ここでは慢性期病院での看護師の役割や業務内容を紹介します。
慢性期病院での看護師の役割
慢性期病院に勤務する看護師の役割は、
疾患コントロールをしながら患者さんがその人らしく過ごせるようサポートすることです。
患者さんの多くは長い療養生活を病院で過ごすため、治療や看護だけでなく、患者さんらしく過ごせるよう配慮する必要があります。
そのため、患者さん本人だけでなく、ご家族ともコミュニケーションを取りながら、患者さんに合った介入やケアの方法を考えます。
また、患者さんの多くは長期間入院されるため、ときにお亡くなりになることもあります。
そのような場面でも、
患者さんやご家族がどんな最期を望んでいるかや、その希望に合った看護を提供することも重要な役割といえます。
慢性期病院での業務内容
慢性期病院の看護師の業務内容には主に以下のものが挙げられます。
- 状態観察
- 服薬管理
- 移動介助
- 食事介助(経管栄養)
- ルートキープ
- 検査介助(採血、レントゲン移送等)
- 褥瘡管理
- 入浴介助
- 保清
- 呼吸管理(吸引、人工呼吸器管理、酸素療法)
- チューブ類の交換(マーゲンチューブ、バルーンカテーテル等)
など
急性期病院ではオペ前後の看護などが多かった一方、慢性期病院では患者さんの身の回りのお世話などが多くなります。
一般的に慢性期は急性期と比較して看護技術を行う機会が少ないと言われることもありますよね。
しかし、慢性期病院であっても、採血やルートキープ、チューブ類の交換、人工呼吸器管理などは必須です。
そのため、慢性期病院が極端に看護技術を行う場面が少ないということはないでしょう。
私も看護師一年目で慢性期病院に転職する際は技術面が心配でした、
しかし、結局毎日のようにルートキープや人工呼吸器管理を行なっていたため、今後どの病院に転職することになっても大丈夫だという自信を持つことができました。
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看護師一年目で転職した結果はこちらの記事でも詳しく解説しています。
慢性期病院に転職するメリット・デメリット
というのが最も気になるところですよね。
ここでは、看護師一年目で慢性期病院に転職するメリットとデメリットを解説しましょう。
看護師一年目で慢性期病院に転職するメリット
看護師一年目で急性期病院から慢性期病院へと転職すると、以下のようなメリットがあります。
- ゆったり働ける
- プライベートの時間を確保しやすくなる
ゆったり働ける
慢性期病院はルーティン業務が多いため、
バタバタと忙しく働くことは少ない傾向にあります。
仕事の段取りが組みやすく、気持ちに余裕を持って働けることが多いでしょう。
私は急性期に勤務していたときは毎日院内を走り回って急いで仕事を進めてもほぼ毎日残業していました。
しかし、慢性期に転職後は時間が余る程になり、他のスタッフの業務を手伝ったり、患者さんと車椅子でお散歩したりしていましたよ。
プライベートの時間を確保しやすくなる
慢性期病院では、残業が少なく定時に帰宅できるところが多い傾向にあります。
また、患者さんの多くは状態が安定しているため、情報収集に時間を要することも少ないでしょう。
そのため、ゆっくり出勤して定時ぴったりに帰ることも稀ではありません。
私の転職先では、情報収集が夜勤者からの申し送りだけで完結していたため、
朝は申し送りが始まる30分前くらいに病院に着いても余裕がありました。
そのため、毎朝ゆっくりできたこともメリットに感じています。
さらに、残業や時間外研修、休日出勤などはなかったため、プライベートの時間を存分に満喫することもできました。
看護師一年目で慢性期病院に転職するデメリット
看護師一年目で慢性期病院に転職する唯一のデメリットは、
その後の転職に影響する可能性があるということではないでしょうか。
経験の浅い一年目で慢性期に転職したとなると、
「急性期に必要なスキルが乏しい」
と捉えられる可能性があります。
そのため、急性期病院や高度医療を提供する病院などへの転職は難しくなることもあるかもしれません。
しかし、どの病院に転職したとしても、その診療科の勉強は必要です。
また、看護師一年目でなくても、やったことがない処置や携わったことがない疾患を目の当たりにすることはあるでしょう。
そのため、慢性期病院からどの病院へ転職した場合であっても、
当たり前ですが必要な勉強をしてスキルを磨くことで勤務することは可能だと感じています。
しかし、万が一その後の転職が不利になることを想定し、
ゆくゆくは急性期に戻りたいという方は、一年目の慢性期への転職は慎重に考えた方が無難でしょう。
看護師一年目で慢性期病院に転職した経験談
私は看護師一年目で急性期から慢性期へと転職し、結果的に時間や精神的なゆとりを得ることができました。
朝も帰宅後もゆっくり過ごすことができ、休日は仕事のことを忘れて楽しく過ごせました。
また、ゆったりとした病院であるためか、スタッフも穏やかな人が多く、人間関係にも恵まれました。
心配だった技術も十分習得することができ、個人的には今後の転職に不安はありません。
さらに、転職前と比較して年収が100万円近く上がったことも嬉しいポイントでした。
奨学金返済を抱えての転職でしたが、収入が大幅に上がったことで奨学金返済の負担を軽くすることもできました。
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看護師一年目で慢性期病院に転職しても問題なし【まとめ】
看護師一年目で慢性期病院に転職しても、極端にスキルが落ちたりその後の転職が不利になったりすることはないでしょう。
急性期、慢性期それぞれに看護師の役割があり、どちらが優れていてどちらが劣っているということはありません。
また、自分の特性に合った病院へと転職することも何ら問題ないことです。
そのため、働きたい慢性期病院があるという場合や、なるべくゆったり働きたいという場合には、看護師一年目でも慢性期病院に転職して良いでしょう。
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【参考文献】